羊たちは何を見た 森生まさみ


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姑との仲が悪く終始イライラする母をはじめとして家庭内の状況に不満を持ちつつも表に出せない普通の少女・桃子は、自由奔放で大人が手を焼く転校生の少年・青柳大と出会い惹かれて行く。そしてある事件をきっかけに2人は手を取り合い自分たちのいた場所から逃亡するが。
。「いい子」の少女と「手を焼く子」の少年は、純粋すぎるが故に周囲のせちがらさとかこすっからさに少なからず嫌悪を感じるという点では2人は同じものを持っており、それゆえに惹かれあう。
周囲の無理解などから飛び出した2人。尾崎豊の歌をふと思い出す展開。かけおちというには幼すぎるし無謀でしか逃避行の果てに周囲と2人の結末は・・。
少女側の父母が、少女が逃亡してからは自分たちの無理解を責め、彼らを純粋に心配し少年に対しても大人の対応をするあたりはご都合主義かなとも思ったのですが、父母の結婚に至る馴れ初めがいわゆるできちゃった婚で波乱があったというバックボーンをきちんと描いているため父母の行動にも説得力がありました。
少女のある意味潔癖な気質や子供らしい純粋さはあれどとても聡明な少年のキャラが印象的でそれゆえにせつなかったなあ。10年後の約束とその後などラストのオチも読後感もよかったです。

森生まさみ
白泉社文庫全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆