吸血体質を持つ一族の青年、青年に仄かな好意を持つ青年の知己に似た少女。輪廻と運命を巡るオカルトサスペンス。
ごく普通の少女・環奈は、バイト先で見かける名も知らぬ端正な顔の青年に惹かれていた。その青年は吸血鬼で、環奈が交通事故に遭った際居合わせた青年は環奈を同族にする。
環奈は青年を吸血鬼にした女性と瓜二つという設定で、それは後々伏線になっているわけで。吸血鬼ものと輪廻転生ものをあわせた内容。
吸血鬼たちの、生きるために人間の血を得ることの罪悪感や人に隠れ紛れて生きながらえねばならない焦燥、少女の吸血鬼となってしまったたとえようもないとまどいとその原因が淡い恋心を抱いていた相手という混乱とか。ぎこちなく軋みながら回り続けるずれた歯車の音のような情感描写。
前半はけっこう興味深かったのですが、後半は観念的な描写が目立ちつかみどころがなくよくわからなかったというのが正直なところ。そこが見所なのでしょうが。芸術系映画のような印象を受けたタイトル。
藤原薫
フィールコミックス全2巻 / 祥伝社
ジャンル:オカルトサスペンス・ドラマ / 好み度:★★★☆☆