僕らの変拍子 冬目景

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初期短編集なので絵柄が現在とかなり違います。違うというか幼い絵柄といったほうがいいのか。強弱がついた波打つようなペンタッチはどこか懐かしい感じがします。どこかで見たことがあるのかなあ。まったく記憶にないけど。
どの話もファジーというか叙情的余韻を残した終わり方なのが特徴かな。不安定で静謐な思春期の少年少女の青春群像のような話が大半。
「僕らの変拍子」
ピアノをあきらめた少年はクスリを常用する同級生の少女と出会う。どこかあやうい迷走する思春期の少年少女の物語。たるっとした昔の青春邦画を彷彿とさせる雰囲気が魅力的。夢うつつのような出来事だったけど確かに彼女はいたのだ。
「幽霊のいるまち」
海辺の田舎町の祖母の家に滞在する少年と不思議な白く長い髪の女性とのある夏の物語。少年と女性とのやりとり、少年と地元の少年とのやりとりは古きよきノスタルジイの雰囲気があります。
「現国教師RC-01」
アンドロイドタイプの家電教師が存在する世界。SFが入った学園もの。小さいメーカーの女性教師と大手の数学教師と女性教師が気になる少年のお話。ドタバタばかりではなく叙情的要素が入るのは著者のカラーか。
「醒めてみた夢」
車に跳ねられてから空に浮遊する少女が見えるようになった少年。少女は疫病神だと言うが・・。ちょっとしんみり系なラブコメといったところか。
「銀色自転車」
大学留年生でバイト青年のお話。大学時代の面子での飲み会の後大学時代付き合っていた女性の結婚話を聞かされる。青年の持つ一人乗りの自転車と通して各々の心情描写が綴られたタイトル。
「こんな感じ」
メガネ予備校生の妄想と暴走のグダグダ青春フォトグラフ。なんつーか勢いで突っ走って思いっきり転んでおきたらそれまでのことを忘れて次の視点になるというバカなキャラ。若いからできる所業だよなと思う。
「六畳劇場」
酔った勢いで昔の彼のアパートの扉をたたくOLの女性。しかしその部屋は次の住人である青年が住んでいた。青年は映画を取ることを趣味とし女性がかつて大学の劇団サークルにはいっていたことを覚えていた。映画青年と出会ったことで女性は封じていた劇への未練を自覚するという展開。

冬目景
バーズコミックス全1巻 / 幻冬舎
ジャンル:少年・青春ドラマ / 好み度:★★★☆☆