穏やかな気質の佐倉くんに片思いの朝子さんは、佐倉くんの親友で万能少年・梶原くんの意外な秘密を知ってしまう。その秘密とはストレスがたまると「かたつむり」に変わってしまうという特異体質。偶然かたつむり化した梶原くんと出くわしそれがきっかけでかたつむり化した際の梶原くんの面倒を見ることになる、という展開。はじまりの恋愛相関は、かたつむり化するという設定ですが、萌えとかコメディにありがちなかわいらしいキャラクターではなく、まごうことなきリアルかたつむりです。意表をつかれましたよ、ほんとに(笑)
梶原くんがかたつむり化することによる事件を基軸に、思春期らしい将来の展望や恋愛や人間関係についての問題や悩みなど内面の話が綴られていきます。
設定は意外性がありますが物語自体はいたって王道な青春学園もの。シンプルな構成ですごく読みやすく登場人物にするっと感情移入できるタイトル。もどかしさやどきどき感の比重が高い恋愛模様で柔らかいというか殺伐としていない雰囲気が印象的でした。
穏やかな佐倉、俺様な梶原、まっすぐな朝子。脇キャラも個性豊かで彼らのやりとりや微妙な関係の描写がツボでした。
それにしても何故かたつむりなのか、と思ったら陸上部のエース(というか文武両道で優秀)という設定がありその真逆性からのようです。変身前後の体積の圧倒的な違いから、変身がとけたらマッパというラブコメな展開に使えるのもある模様。
恋愛の結末がすべてくっきり片がついていない状態で終了でしたがもやっとじゃない素で「いいかな」と思える終わりの演出でした。
藤川佳世
花とゆめコミックス全7巻 / 白泉社
ジャンル:少女・恋愛・学園 / 好み度:★★★☆☆