ダブルムーン 喜多尚江

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ダブルムーン・海の宝石・嵐のロマンスを収録した著者の短編集。
「ダブルムーン」
小惑星が地球に接近し万分の確率で小惑星になった、つまるところ月が2つ存在する地球の話。第二の月を所有しその調査に旅立った義兄を待つブラコン天才少女ミユは義兄が持っているはずの指輪をはめた不思議な少年と遭遇少年は、主人公の義兄の所有物であり当主の証である指輪を所有していることから仮当主とされた少年は、義兄は志望したと告げるが。
SF設定のミステリ仕立てのドラマストーリーといったところか。第二の月を巡る策謀という軸と同時に、不思議な少年と主人公の交流を描いた物語。作中では回想でしか姿を現さない兄が、少年と少女の絆の橋渡しになっているという構成が絶妙だなと思いました。生きるということをあらん限り主張する彼らが印象的でした。
2話目の宇宙船トラブルの黒幕や行方をあらわさない義兄などちょっと中途半端な終わり方だったのが残念。もう数話あると完結しそうなのになー。
「海の宝石」
平安末期の日本、海賊の党首の少年と襲った船に捕らえられていた不思議な少女の物語。少女は人間に恋することを禁忌とするがそれ以外では少年を守護すると言う。人外の少女と人間の少年の交流、器量の狭い人間による災い、せつなくも悲しいそして優しい日本の昔話のようなタイトルでした。
「嵐のロマンス」
12歳のとき行方不明になった幼馴染から来た奇妙な手紙に誘われ片田舎の幼馴染の生家にやってきた少年だが・・。ファンタジー要素を加えたサスペンスミステリなタイトル。幼馴染というより正確には同じ家で兄弟同然に暮らした間柄なんですがね。
話のはじまりはかなりミステリ、かつ伏線はダークファンタジーみたいな内容でした。忍の末裔って設定はちと唐突だった印象が。著者の作品って限られたページ数で詰め込んだという印象が薄いのに情報量が多いんだよなあ。

喜多尚江
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆