砂境城市 ニ越としみ

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夜の砂漠の闇で強く想われた人の魂は幻の楽園の住人となる。少女リーは弟たちとともに永遠に同じ1日を繰り返す楽園に迷い込む。そこで住人ラサと出会うが......。
砂漠の世界を舞台にしたラビリンスファンタジー。幸せに生きて欲しいと強く想われた対象の魂のコピーが住む村から物語は始まります。住人は実体のある幽霊みたいなものなのでずっとその楽園に存在し続けられるのですがたまに外から入った普通の人間には時間が作用する・・という設定。人を思いやる、大切に想うということがテーマの秀作です。自分を生み出した人の想いを憎むラサの自分の存在に対する葛藤と憤りと変化の描写が印象に残っています。一方、リーは常に前向きでラサの心配もする少女ですが彼女にも迷いや悩みがあるわけで。その辺が共感を覚えました。
私は平穏に生きたいと思う人間ですがやったことが全部リセットされるというのはやっぱりつらいかなあ。造る過程を楽しめるものがあるなら無問題ですが。個人的にはすごくなつかしさを感じた作品だったり。

ニ越としみ
あすかコミックスDX/全1巻/角川書店
ジャンル:ファンタジー・ドラマ /好み度:★★★★★