悪だくみは木の上で・君にかかる橋・TEL-EPATHY・初恋・ライトボーイを収録した著者の短編集。
「悪だくみは木の上で」
幼いころ過ごした町に帰ってきた少女。思い出の楠とその精霊の少年・翠は健在で再会を喜ぶ。しかし少女の憧れの対象だった青年は駅をつくるため楠を切り落とすという。そして翠は切り落とされるならと人間に災厄を及ぼそうとするが。
大人になること、大人であることで変わることと変わらないこと。大人は思っていたよりも大人ではないという言葉には思うところが多分にあり。大人以上の年齢になっても学生のころとあんまり変わらないもんで;
「君にかかる橋」
蜘蛛の糸でできた橋と美しい女性の夢を見た少年夕路。引越し後、幼少の体験からつり橋が苦手なのに通学につり橋を通らねばならないことに。そして遭遇した不思議な少女とは。日本昔話系ファンタジーに集団心理の様を組み込んだ話というべきか。ちょっと投げっぱなしなオチでした。
「TEL-EPATHY」
少女は違う番号にかけているのになぜか片思いの少年の家にかかってしまう。好きだけど両思いは無理と思い込み忘れようとしている主人公と件の片恋の相手とのお話。電話と精神感応をかけた題名で大方話がわかるタイトル。
偶然と思われたが何度も相手につながってしまう。あきらめきれず素直になれず。恋にじたばたする女の子たち描写がかわいらしいのです。かわいらしいですまされない行動もありますが(笑)
「初恋」
クリスマス間近。少年はある少女が気になっているが彼女は片恋の相手がいる模様。それを知ったとき少年の体温は異常に上がる。彼女のことを考えるととても上昇する。メランコリックで軽快で透き通った印象の短編。
「ライト・ボーイ」
デビュー前の投稿受賞作らしい。異様に軽い体重の少年はちょっとやさぐれタイプ。彼は猫を抱えた幸に秘密を見られ猫の面倒を見るよう脅されるが。当初から著者のカラーは確立してたんだなあと感じるタイトル。
喜多尚江
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆