主人公の小学生の男の子は、自宅に保管されていた、巷で流行っている家庭用ペットロボット犬ロボを見つける。現在は売られていない初期タイプの犬ロボ「ラッキー」を通して綴られる家族物語。
主人公の母親は他界し、主人公は父親と2人暮らし。ラッキーは主人公が生まれる前に不妊治療をしていた母親のために父親が買ってきたもので、持ち主の行動をトレースし記憶したり5文字の表示で会話といった機能がある。主人公は前の持ち主であった母親を、ラッキーの行動や会話から垣間見る。
ロボットですが本物の犬のような仕草もする、簡単な会話ができるペットであり家族のような存在となっていきます。そして同級生となじめない、母親の死をひきずっている現状が改善されていくという展開。
動物感動ものの要素とロボットという設定の特性をうまく物語に組み込んでいます。お仕着せでない自然な描写とじっくり描かれた人間模様が、奥の深さを感じさせ、単に感動物語とか泣ける話で終わらせていないところが特徴。主人公たちの周りのみならず、ラッキーのその後の伏線もきっちり引いてあったのもいいですね。
本編もさることながら、5文字だけしか使えなくても、けっこう会話って成立するものなんだなあってのが印象に残っていたり。
村上かつら
ビッグコミックス全1巻 / 小学館
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆