人形遣いの家に生まれた鹿嶋リンが家出しドイツに留学中、自宅が全焼したとの連絡を受け急遽帰国する。そして姉と祖父は殺され先祖代々伝わる人形(木偶)が盗まれていた。犯人は姉の婚約者だったバイオリニストの雅。リンは彼への復讐を決意する。
ドールネタをメインにしたアクションドラマものかな。作品に流行を取り入れるのもお約束です(スケバン刑事連載開始当初はヨーヨーが流行していたのごとく)。
リンは逃亡したドイツの学校から送られた自分そっくりの人形を相棒に、幼馴染の友人や老人形師と共に盗まれた木偶と家族の死の謎に立ち向かうという展開。
あらすじだとシリアスな復讐劇、なんですがシリアスで切羽詰った雰囲気が少ないというか抜き身のような緊張感がないというか。姉を殺した雅に対し、敵対というよりいけ好かない相手に対するようなリンの態度が今までの作品とちがうなあと。まあその雰囲気の違いの理由は後々わかってくるのですが。
基本的に人形同士の戦いと盗まれた木偶の秘密がメインです。
この作品での人形は自分で動くことができかつ意思も持っています。言葉は話せませんが人間の言葉は理解できます。人形が話せないので表情と動作のみで意思疎通を図るしかなくそれ故に食い違いやすれ違いも多々あったり。その辺のゴタゴタ描写も面白いです。
人形同士の戦いはバトルと称され片方が宣戦布告をして戦いが始まるパターン。昨今のバトルものの基本ですな。
雅側の人形がリン側にいったりまた逆もあったり、利害一致で共闘したりと単調な展開じゃないところがいいですね。
著者と言えば巻末のおまけ解説まんがですが、このタイトルではじめてキャラにアホ毛をつけたとのこと。言われてはじめて気づく私。それよりも主人公の前髪を変える冒険をしてみませんかとつっこみたくなりましたが(笑)
和田慎二
ボニータコミックス全14巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・ドールアクション / 好み度:★★★★★
連載中に絶筆。ご冥福をお祈りします。