主である「お館さま」の立派なくのいちになるため忍びの母の過酷な鍛錬を受ける楓の物語。表題作他、短編「私が世界を愛するように」「メッキ星人の罪」「野ばらの国」「えみちゃんといっしょ」「うちのママは漫画化です」「不思議な記憶」「だrもいない部屋」を収録。
忍者アクションもあるけど作者節がきいた人間ドラマもありますね。主人公の楓は小学生で普通の女の子のように友達と遊んだり哺乳類のペットを飼ってみたりしたいのですが、くのいちの一族であるがためままならない。とにかく目立ったらいけないので、木の上の猫を助けたり小学生らしかぬ知識を他者に言うと母の不興を買い厳しい罰が待っている。ペットは相棒として巨大ガマガエル。大きくなってくると餌を与えるシーンはとっても怖い。
修業とはいえ主人公の処遇を見ていると悲惨で厳しいです。母が課した課題でピンチになったらお館さまの励ましの声が聞こえ危機を乗り越える...というところが救いっぽい。荒唐無稽なB級邦画っぽい設定ですが作者の人間描写はやはり味がありますねえ。読みきり形式で結局お館さまも出てこなかったし立派なくのいちになるまで見たかった気もしたり。
他の短編も人のヤな面を少々毒を混ぜて生々しく表現してる感じですが、それなりに解決を見るまとめかたですね。常軌を逸した設定が多いけど心理描写とかリアリティあるなあと思う。
明智抄
ホラーMコミック文庫全1巻/ぶんか社
ジャンル:少女・ホラー・ドラマ / 好み度:★★☆☆☆