隣の町で死んだひと なるしまゆり

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※隣の町で死んだひとは絶版。少年怪奇劇場にほとんど再録されていますが「この国は深夜限り」は未収録。
少年(少女)たちが主人公の怪奇ミステリーオムニパスの一冊目。「隣の町で死んだひと」「怪談六話」「この国は深夜限り」の3篇が収録されています。
単に幽霊などの不可思議現象に対する恐怖だけではなく、人間の狂気や、主人公の少年少女たちの思春期や少年時代特有の、内面や想いが語られています。日常からぽんと生み出される恐怖、ありえるはずがないと思った現実がゆるやかに描かれています。
「隣の町で死んだひと」はいわゆる学校の怪談ネタ。一番厄介なのは思い込みによるうわさなんだよなあと実感したり。頭のいい人というのは、的確にものの本質を見極め、かつ遊び心のある人ですよね。
「怪談六夜」は幼少期に幽霊に会いに行った経験を持ついとこ同士の物語。友情にこだわる女の子とクールを装いつつも中身は熱血な男の子のカップルはいいですね。
「この国は深夜限り」は死者の国につながった橋の物語。ホラー描写はなんとも言えず怖かった......。それはともかく、生と死というテーマを見事に描いた話だと思います。死んだ子の善良なところや残った子の友情は貴重なものです。「人生を楽しく過ごすコツは簡単だ。ただ友達がいればいい」残った子は生き続け、想いは彼の孫に伝わっていくのです。

あすかコミックス/全1巻/角川書店
ジャンル:少女・ミステリー/好み度:★★★★★
少年怪奇シリーズ1