人と異なる超常能力(この場合、魔法や超能力等を指す)を持った少年たちの悲劇と葛藤を描いた作品。オカルトな設定なため、グロテスクな表現が目立ちますが人間の生き方についてがメインテーマです。普段、知らずのうちに目をそむけている人間の心の暗部が、ぼかされることなく鮮やかに描かれていて、その闇の中にある、またはその先にある光というかプラス面もしっかり伝えているところが圧倒されます。
生まれ持ったものが悪いと他者が勝手に決めて自分を攻撃するという不条理を体験し、それでも前へ進もうとする主人公達。彼らの出会いが、彼らにとってよりよい方へ行くものになってくれることを願うばかり。
メイン3人の各々のエピソードから始まる構成のため、最初の方は話がつかみにくいかもしれませんが巻が進むにつれ、つながりが明確になっていきます。そして物語は「アーク」と呼ばれる稀代の魔法使いの代替わりをめぐって大きく動き出します。
なるしまゆり
ウィングスコミックス全19巻/新書館
ジャンル:オカルト・魔法・ドラマ / 好み度:★★★★★