私立の超進学校に通う少年少女のちょっと変わった青春の悩みとか恋愛模様とかを綴った4編の連作集。
昔の著者の作品を思い出す、のんびりまったり時々せつないそんな雰囲気が楽しい。そして久しぶりに読むとやっぱり理系の枠組みというか構成だなと感じたり。おおむね寡黙で理知的タイプの男子と朗らかなタイプの女子のお話かな。
「レナード現象には理由がある」
医者の息子で完璧超人の飛島くんと成績はぱっとしないけどある特技を持つおっとり少女よもぎさんのお話。完璧ゆえに他者の痛みが理解できない飛島くん。自分の息子はおそらくは医者になる能力を有しているのに、医者に向いていない性格ときっぱり言っちゃえるお父さんはある意味すごい。
「ドングリにもほどがある」
学校に入るまでの成績は普通なのに進学校に入学でき学校の成績も中間を維持できていてラッキーだと豪語する少女と、小説家の二束草鞋をはく少年のお話。
「あの子の背中に羽がある」
柔道部のエースの少年と、少年の隣に越してきた小学生の少女のお話。この話だけ女の子が同級生じゃないです。主格の少年は小学生の少女の背に羽が見え友人の助言でおそらくは自分はその少女に恋をしていると自覚する。そんなことは倫理的にまずいだろうと自分の気持ちを封印しようとするが・・、という展開。
ラストのモノローグは真理だと思う。「理解せよ、得心せよ、変態は自分の事しか考えない まず先に相手の事を考えられる人は絶対に変態とは言わないんだ」
「真面目な人には裏がある」
兄がゲイであることを家族にカミングアウトしたことから両親を安心させるため女性関係が派手になった少年と、少年の兄の恋人が自分の兄である少女のお話。固定観念が強い少年と柔軟な思考の少女の対比が見所。
ホモかどうかのテストとかBLの定義とかが出てきますが素人にもたいへんわかりやすい解説だと思います(笑)
続編としてバーナム効果であるあるがある も発表されました。
川原泉
ジェッツコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・青春・コメディ / 好み度:★★★★★おすすめ