百舌谷さん逆上する 篠房六郎

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ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害略してツンデレの小学生百舌谷さんの物語。
この物語の「ツンデレ」とはヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害の略であり、精神障害の病を指します。ツンデレ障害は、好意を持った相手に対した時やうれしいときに乱暴になる、また普通に怒ったときにも乱暴になる、ということで、傍から見るとうれしいのかおこっているのかわからないというのが症状1つのようです。
その障害を持ったツインテールの美少女の主人公がある小学校に転校してきたところから物語は始まり、彼女の養父母との関係、同級生の中の主人公が好意を持った男の子と主人公にとって恋愛感情を持つことがないゆえに障害に苦しまず接することができる愚直な男の子との関係、主人公の恋のライバル的立ち位置の優等生タイプの女の子や主人公にほのかな憧れのようなものをもつおとなしい女の子の関係の描写を通した人間ドラマが展開。
主人公のみならず主要人物の心情描写も詳細に描かれ、突っ込んだ人間模様が展開されています。精神障害を物語の鍵にしているゆえ、普通って何?という問題提起が多く用いられている気がします。社会的通念的には普通と見られることも客観的にみるとあれ?って思うことは存在する、そんな話。
萌えでもギャグでもなく、まじめにかつシリアスな人間物語としてツンデレという気質を描くタイトル。いろんな意味で目から鱗が出た気持ちになりました。一歩間違えるとギャグでしか見えないテンションが高いシーンが多いのが特徴。当人が超真面目に豪語していても傍から見るとおいおいとツッコミ入れたくなるようなノリというべきか。そんなある意味コミカルなノリと真面目なシリアスとリアリティのある小学生日記な展開がいい感じに融合していて、重いテーマの割りに鬱になる展開ではないところもこの作品のミソなのかも。
1巻巻末のおまけ漫画がまたせつなかったなあ。ヲタにもジェネレーションギャップは存在する。でもまあある意味いい時代になったとも言える・・のか。

篠房六郎
アフタヌーンコミックス全10巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★★