幽霊族の血を受け継ぎ半人半霊の力に目覚めた１４歳の少女の物語。ほんわかした日常の中で綴られる青春ドラマ。
１４歳になった中学生のこかげは、体が透明になったり不思議な声が聞こえるようになる。その声は過去行方不明になった身内であり、こかげの異変について説明する。こかげは幽霊族の末裔であり、幽霊族とは霊界の存在を認識できる存在。昔は霊界への行き来もできたが最近は力が衰えいったん霊界に行くと戻れなくなるという。
特異な体質も普通に生活していればなんということはないため他の作品のような切羽詰った要素がなく、作品全体はいたって普通の日常風景を描いたような雰囲気。しかし恋愛など思春期の不安定な心情の変化は、油断すると消えてしまう（霊界に行く）要因になり、それが物語の中のエピソードのきっかけになっています。
全体的にのんびりした雰囲気なのですが、いったん事件がおきたときの登場人物の心情の発露の描写は中々激しくドラマティック。思春期特有の感情の高まりをリアルに表現した演出だなと感じました。
ファンタジーな要素をからめつつも人間ドラマは真っ向勝負な構成。リアルで仰々しくないドラマを読みたい人にはお勧めのタイトル。
いけだだかし
MFコミックスアライブシリーズ全２巻 / メディアファクトリー
ジャンル：少年・青春・ドラマ / 好み度：★★★★☆