革命前後のフランス。名門貴族に仕える有能な執事とわがままな美貌の主人のボーイズラブロマンス。
中国人の血がはいっているため象牙の肌と黒髪を持つ有能な執事クロードと、若く気位が高くわがままな美貌の貴族の青年・アントワーヌの話がメイン。
とはいえ２人が中心になる話はしばし時代を追って綴られる貴族と使用人の話を経てからになります。一番初めはクロード親戚で彼と風貌が良く似た青年と、人妻との恋の駆け引きを楽しむ貴族のせつない話、次にアントワーヌが生まれる以前クロードが屋敷にやってくる経緯とアントワーヌの父とクロードの話。その後フランス革命をからめた２人の交流が描かれるといった構成。
もちろん主人公２人の恋の行方がメインテーマですが、クロードが男娼から有能な執事になるまでの経緯の話もけっこう好きでした。BLシチュエーションだけに頼らず現実的な人間や時代背景をきちんと描いているところが良いんですよね。
ボーイズラブなのでベッドシーンもあります。著者の話にしてはけっこう分量は多めなほうか。著者のBLシーンはエロいというより切羽詰ってる感が顕著で男性の性傾向の描写がリアルな気がするなあ。ちなみに執事×主人。
先代のころはいたいけだったのに息子には仕える側の分はわきまえているもののけっこう言いたいことをやっている執事に萌え（笑）まあ相手が勝気で鈍感で世間知らずなぼっちゃまだからというのもあるのでしょうが。男娼館仕込(?)のテクに翻弄される坊にも萌え（笑）
ちょい意地悪でも愛があるから大丈夫。フランス革命の大変なときもうまくやっている模様。幸せに暮らしてくださいというしかない御伽噺のような余韻を残した演出のラストが印象深いです。
よしながふみ
白泉社文庫全１巻 / 白泉社
ジャンル：ボーイズラブ / 好み度：★★★★★