時は文明華やかなりし明治の世。主人公の裕福な家庭の長男坊・馨。彼は長い間西洋である技術を学んでいたが愛する妹の手紙から帰国し家に帰る。久方ぶりに会った美しく成長した妹は、数年会っていない兄である自分の子を孕んだという・・。
ネタばれしてしまいますと妹の胎には魔物の子がおりエクソシストの能力を身につけた主人公が祓うという展開。その後元凶である狂った父から逃れ家を出る兄妹。そして途中主人公の師匠や仏門の日本版エクソシストの僧も加わり主人公は遭遇した魔物がらみの事件を解決していく話が綴られます。
いわゆる退魔ものですが、魔は人の闇にとりつくということで中々ヘビーな人間模様が展開されています。主人公が関わった魔に魅入られた人たちもそうですが主人公一家の家族関係もかなりグダグダ。とはいえシリアス一辺倒というわけでもなく今ドキなコミカルなシーンも含まれていますが。
最終話は1話の伏線の回収とラストバトル。最後のエピソードで、そもそも最愛の妹を置いて主人公がなぜ海外に出たかという理由がわかります。禁忌だろうが妹のために腹を括る主人公。物語はとりあえず終わりますがすっきりしないなあと思う人もいるかも。でもまあ明治という時代設定と主人公の家庭の設定ならこれもアリかなと。
ホラーアクション描写はこなれていて安定感があるし人物の切羽詰った感情の吐露の描写も見ごたえがあります。
ちなみにタイトルは連載中は「魔胎生奇譚」でしたがコミックス化で「トーキョーエクソシスト」となったそうです。わかりやすくという理由で変更になったそうですが、連載中のタイトルだと作中の雰囲気とは少々ずれてる感じがするので変更は間違いではないと思いました。
大橋薫
怪コミック全1巻 / 角川書店
ジャンル:青年・ホラーアクション / 好み度:★★★★☆