同名小説のコミカライズ。2つの大国同士での戦時下。傭兵パイロットの少年は次期皇妃の少女を一機のみで敵国の領海を通り本国に送る任務を受ける。
人気のある小説が原作ゆえか物語は引き込まれるというか読み応えがるというか。特に軍の規律と政治的な過程と状況はけっこうリアリティがあるなあと感じます。上のポカを下がフォローしなきゃならんとことかね・・。
原作は未読だし戦争ものの話は込み入っていてとっつきにくいのが個人的な常でしたがこちらは比較的すんなり物語に入れました。各々のキャラの立ち位置がすぐに明確になるからかな。
主人公のいる土地は元敵国から占領した土地だが現在は本国とは孤立状態に近い。その地にいる階級の高い少女が本国の王族の目にとまり次期皇妃ということになるが本国へ送るには敵の領海を通ることになりゆえに隠密に移動しなくてはならない。
主人公は敵国の人間との混血で戦災孤児である傭兵であるが貞操観念をかわれて少女の移送の役に任命される。男女2人のみの移動になるので間違いがあってはならないからという理由ですね。
ここで少年と少女は過去に出会ったことがあり時間差でお互いそのことを認識する。2人だけの移動中では各々の身に置かれた現状における心情や互いに対する心情、微笑ましい2人のやり取りが展開されます。
主人公2人の心情描写、敵の目をかいくぐっての空中戦闘、2人をとりまくバックボーンが見所か。
原作が未読な人には続きが気になるタイトルかな。作画はどちらかというと低年齢層向け正統ファンタジーが似合いそうな絵柄だなあとふと思ったり。というかストーリー重視の万人向けタイトル向きというべきか。その点では作画担当はあたりといえます。
原作:犬村小六 / 作画:小川麻衣子
ゲッサン少年サンデーコミックス全4巻 / 小学館
ジャンル:少年 / 好み度:★★★☆☆