負の感情にとらわれた人が黒い化け物に見える少女・あかり。彼女の能力と謎の少年からすの関係とは。
強い悪意を感じ取り化け物として見える能力を持つが故、両親と離れ祖父と暮らしていた主人公。その祖父が他界し兄のもとに身を寄せることになる。そして人の悪意を食らう謎の青年からすと出会う。
主人公の能力とからす、そして兄の所属する探偵事務所の所長やその祖父もからみ物語は展開していきます。
どちらかというと可愛らしい絵柄なのに、人の悪意の描写が生々しくそして悲しく、非現実な設定なのにリアル。特に危機の描写の臨場感がすごいなと感じました。
主人公の知らない事柄や非現実的な存在の意味、一見悪役に見えるキャラを置いて物語の裏になにがあるのかといった読み手が続きを知りたいと思わせる構成が秀逸。
みんな他者を傷つけたいと決して思っていないのにかみあわないと難儀なことになるのは人の営みの常か。悲劇ばかりでなく光明が射す展開がよかったです。シリアスとハートフルのバランスが絶妙。
シスコンというより妹ばかの兄がかわいい。娘との距離が図りかねているお母さんは見ていてちょっと辛かったかな。愛したいのに踏み出せない辛さ。後日談の母娘はほっこりしました。よかったね~と素で思った。
雨隠ギド
ウィングスコミックス全1巻 / 新書館
ジャンル:少女 / 好み度:★★★★☆