深夜営業の飯屋の主人とお客たちが綴る思い出の料理と人間ドラマ。
深夜0時から朝7時まで営業、決まったメニューは豚汁定食と飲み物少々、材料さえあればメニュー以外でも客の注文の品を作るという経営方針の飯屋が舞台。中年男性の店主と常連客や初めての客が物語の登場人物。
登場する料理はいわゆるB級グルメ。どの家庭でも良く見られる料理とか誰でも簡単にできる料理とか。凝ったメニューはほとんどんでません。
同じ舞台で各話読みきり形式。各々のエピソードの主役たるメニューとそれにまつわる人間ドラマが描かれています。それは親がよく作ってくれた料理だったり家族や大事な人と一緒に食べた料理だったり、ゲンかつぎだったり、特定の料理に固執したり、誰でも1つくらいはあるだろう特定の料理の食べ方のこだわりだったり。
1エピソードに使うページ数が少ないゆえか話にキレがあり中だるみがなく飽きない構成が個人的に好み。ショートショートのようなオチつきコメディだったり、しんみりとした人情ドラマだったり。どれも「よくある話」なのに染みわたる話づくりがうまいなあと。店主の昼行灯というかいぶし銀というか、いい感じに年季が入ったキャラもいいな。
大衆小説の挿絵のような雰囲気の絵。料理の絵はシンプルなのにとてもおいしそうに見えます。著者は料理の絵を描くのが辛いようですが(笑)
グルメものはあまり読まないのですが、誰もが一度は食べたことがあるだろうオーソドックスなメニューが題材というのは目新しいのかな?つかこのタイトルは厳密にはグルメものじゃないのかな。
安倍夜郎
ビッグコミックススペシャル1~ / 小学館
ジャンル:青年・グルメ / 好み度:★★★★★おすすめ