タブロウ・ゲート 鈴木理華

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タブロウと呼ばれる精霊が込められたタロット画集の主である少女とともに画集から離れたタブロウを回収することになった少年の物語。
厳格な祖父と折り合いがあわず一人暮らしをすることになった優しい気質の少年。引越し荷物の中にまぎれていた大きなタロット画集の封印を解いてしまい、中に封じられたタロットの精霊を外に出してしまう。その直後画集の主と名乗る少女が登場、少年は少女とともにタロットの精霊を回収することになる。
画集に存在する精霊たちは、外に出ればほぼ人と変わらぬ風貌を持ち、主人に従うものではあるが自由意志と人格を持つという設定。ゆえに回収エピソードと回収した精霊の面々と少女と少年の日常エピソードが交互に展開されています。主人公と画集の縁、本来画集の主人は一人だが主人公と少女2人になっている点、また話の本筋としてもう一人、画集の主人格のような女性の存在が伏線となり謎が解明されていく模様。
主人たる人物がその精霊の特質を定義づけすることで精霊を回収するという手順。個人的には定義づけの台詞が雰囲気があって魅力的でした。
主人が複数いる状態では同じ精霊でも呼び出したときの人物によって人格が変わるというのも面白いですね。呼び出す主人の心が精霊に反映されるという設定もあり、主人たる人物の自分との戦いというエピソードも盛り込まれています。
ファンタジーアクションな展開、登場人物の安らぎや葛藤といった心情描写、複雑にからんだ人間関係、アクションとドラマが濃厚に絡み合って読み応えのある物語に仕上がっていると思います。どちらかというとストーリー重視の人にはお勧めのタイトル。

鈴木理華
プリンセスコミックス1~ / 秋田書店
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★★★

随所にパロディがあるのも特徴のひとつか。あのキャラのアイリンネタは、はまりすぎだろう(笑)