人の欲の塊である欲魂を放出してしまった神社の娘は狸の筆と力を借りて欲魂の回収を試みる。
人が祓った欲を集め欲魂とし、その力で山を平穏に治めていた化狸の長。しかし老い力が衰え欲魂が離れかけたところに神社の娘が乱入、欲魂が外に放出されてしまった。狸たちの協議の後、娘は狸の筆と力を借り欲魂の回収を了承する。
うっかり外に出してしまった困ったものを回収するというお話。欲魂とは人の欲でできており、モノに憑くとツクモになる。いわゆるツクモ神は年月を経たモノに相応の魂が憑いたものなので問題はないが、ツクモの場合は幼い子供に力を持たせるようなもので危険という設定。
回収は少女だけでなく、いわくありげな草食男子とさばけた性格の生徒会長の男子と共に行うことになる。3人で回収を行うに至る過程と少女の持つ能力の紹介が1話目で描かれているのですがこれが秀逸。自然というか無理がない展開というか。この1話ですっかり物語に魅了されました。
モノとそれにまつわる人間の想いが描かれる模様。動くのは人間だけでなく妖の者たちも関わるようで話に幅が出てきそう。全体的にやわらかな雰囲気の人情ものといったところか。静と動の展開のメリハリ、シリアスでも何かしらの結論と余韻を残す構成が好印象。
ちょっとしんみりするハートフルな話がお好きならお勧め。
雨隠ギド
ウィングスコミックス全3巻 / 新書館
ジャンル:少女・ファンタジードラマ / 好み度:★★★★★
1巻同時収録:夕暮れを少しわけてあげる