虫と歌 市川春子

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星の恋人・ヴァイオライト・日下兄妹・虫と歌を収録した不思議でせつない短編集。
外国の童話のような絵柄、登場人物も寓話のようなキャラ設定が特徴のタイトル。
人間でない存在が人間の形になり人間と共に人間の生活を営む。その中で生じる人の様々な心理を描写する。特異な設定を中心に話を展開させ、その中で登場人物の心情と主題を表現するという手法。
人生をある程度こなしてきた大人の童話って感じもしたり。観念的な表現もけっこうあるので世界観にはまれるかが鍵か。
「星の恋人」
少年の妹は少年の指から生まれ成長した。妹に対する感情は兄妹愛から変化するが・・。雑誌で読んでかなり印象に残っていたタイトルでした。「ロリコン」「そう言うなナルシスト」のやりとりでかなり笑えた記憶あり。
「ヴァイオライト」
飛行機事故にあった少年と少年の短い旅のお話。どこか迷宮に入ったような気持ちになるタイトル。
「日下兄妹」
肩の故障で野球部を退いた少年と、小さななにかから生まれ成長する「妹」のお話。ある意味ハッピーエンドなのですがちょっと涙が出た。
「虫と歌」
3人が暮らす家に夜やってくるもの。それは虫であり家族。ミステリというか最後に全容がわかる構成。それゆえに読後感は一番強烈でした。

市川春子
アフタヌーンコミックス全1巻 / 講談社
ジャンル:青年 / 好み度:★★★★★おすすめ

もしかしたらという疑念が心の片隅にあっても目の前にある事象が自分にとって喜ばしいことならば人は事象側に傾倒するのか。