百年戦争時の西欧。人間同士の争いを見て見ぬふりができない魔女マリア。派手な人間への干渉から、天界はマリアにある制約を課す。
魔女マリアは下僕であるサキュバスを使い戦争の指揮官を篭絡することにより戦争を回避しようとする。しかし同性愛者が増えその方法もが有効でなくなってくると派手に人間同士の争いに干渉するようになる。それによって天使にある制裁を加えられる。
宗教の名の下、魔女狩りだの戦争だのが頻繁だった時代の話。教会の権力が庶民を苦しめる欺瞞に憤りを感じる主人公マリア。虐げられる人間を守り人間の悪が許せない凛とした面もあれば、女性の淫魔はつくれても処女ゆえに男性の淫魔は造れない、セックスに興味はあるけど処女らしいウブという可愛い面もあるというキャラ。
人間の現実を克明に描き、クスリと笑ってしまう微笑ましいエピソードを挟み込む、人の社会における横暴と理不尽さというシリアスな要素と処女だなんだというコミカルな要素をうまいことかみ合わせている秀作。娯楽に徹せずけっこう重い主題も組み込まれたバランスの良さはさすがというべきか。
信念を取るか己を幸せを取るかという命題を提示もタイトルとあいまってうまいなと感じました。マリアと天使の議論は延々と続きいまだ決着を見ない人間の営みにおいての命題か。マリアの主張が正論なら天使の言い分も正論。まあ絶対か無かって極論がお上っぽい考えだなとは思いますが。
石川雅之
純潔のマリア / アフタヌーンKC全３巻 / 講談社
純潔のマリアexhibition / アフタヌーンKC１巻 / 講談社
ジャンル：青年・ドラマ・ファンタジー / 好み度：★★★★★おすすめ
それにしてもぬいぐるみ付限定版、どの書店でもあまりまくっているようでちょっと悲しい。