超常機動サイレーン 井原裕士

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エコロジーを訴えながら破壊活動を行う悪の組織エコエコ団、それに対抗する公共警備防衛機構サイレーン。サイレーンに適性があるということで配属された波好めるなと、エコエコ団の技術主任の青年天城北斗の物語。
エコエコ団とサイレーンの対決と各々の組織で働く面子の人間模様、そして各々の組織の思惑と活動に物語の主軸をおきつつ、主人公2人の恋愛模様も描くという構図。
2つの組織の対決は絵面としては怪人対正義のヒーローという特撮のノリ。かといって特撮らしい勧善懲悪な話というわけではなく、エコエコ団は表向きエコ志向で環境に悪い施設の破壊としているが実は自分の企業のライバルをつぶしているという裏、加熱するサイレーンの人気と噂と行き過ぎた世論とか、現実でもありえそうなリアルな展開が特徴です。
主人公2人のなれそめは、天城がサイレーンの情報を引き出すためとめるなに近づいたのですがいわゆるデート的なつきあいをするうちに本当に恋人としてつきあうことに。めるなの純朴さに過去の経験から女性不信な天城が徐々に惹かれていくという展開。社会人カップルなのに、この初々しいというか君ら思春期の学生か!と突っ込みたくなるような雰囲気がたまりませんでした。
あとエコエコ団の怪人はいわゆるバイオアンドロイドですが自立した個性と意思を持ちそのキャラクターもいい味出してます。
エコエコ団の首領の本当の目的、防衛機構の非人道的な思惑、めるなと北斗の恋の行方と急展開してゆき最後までしっかり楽しめる構成。ラストは完全なハッピーエンドではないですが余韻の残る演出が印象的。アクションとせつないドラマが楽しめる内容でした。

井原裕士
電撃コミックス全4巻 / メディアワークス
好み度:青年・SF / ジャンル:★★★★★おすすめ