ごく普通の少年椿は唯一心を許せる友人から拒絶され内在していた闇が表に出る。能力が高いのに普通を装う光太郎は凡庸で善良な実兄に憧れを抱くが兄の恋人により平和が破られる。
心の中に荒涼とした傷を持つ思春期の少年たちの想いと憤りを綴ったせつないボーイズラブストーリー。
著者のけっこう昔のBL作品。女性が物語に深くからんだり、難儀で複雑な家庭事情や痴情のもつれとかBLの垣根を越えたわりとリアリティのある設定が印象的でした。主人公格の登場人物が複数、各々のキャラのドラマから描かれるスタイルも興味深かったです。
新装版からはじめて読んだのですが、今の作品でも見られる濃密でせつない人間描写の技量はこのころからしっかりあったのだなあとしみじみ。でもやっぱり絵が全然違いますな。でもこの絵どこかで見たことがあるというか懐かしさがこみ上げるというか。どこかで読んでたのかなあ。
画面構成は現在と比べるとどうしても成長過程という印象は否めませんがストーリーは申し分なし。
水城せとな
スーパービーボーイコミックス全8巻 / リブレ出版
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★☆☆