革命前夜のフランスを舞台にした、平民出身の主人と没落貴族の下男の少年のボーイズラブドラマ。
親の借金のかたに男娼館へと売られた貴族の少年ジャックは、初めての客として出会った男ジェラールの屋敷で偶然働くことになる。
屋敷で確実に生きる術を覚え美しい青年へと成長するジャックと彼を見守るジェラール。彼らの関係の変化、ジェラール・ジャック各々の過去、そしてフランス革命をはさんだ2人の恋愛模様と結末がつづられています。
男娼館に売られたジャックがジェラールの屋敷で下男として働く経緯は本編を読んでください。根っからの貴族ではないジェラールがジャックを叱り鍛え父親のような慈愛で彼を見守る。そうするうちに互いの相手への感情は深まっていくってな展開。ボーイズラブとしてもですが、フランス革命の貴族社会の愛憎劇としても楽しめる内容です。
やはり登場人物の心情の機微がその表情で読み取れるってのはいいですね。中世が舞台ということでか、愛情表現がクラシカルで情熱的なところも。
BLとは別にあるもうひとつのテーマはやはり家族愛でしょうか。無体な仕打ちをされてもこどもは親を慕う。どうしてこどもってやつは・・というジェラールの慟哭、家族が幸せだったときは確かに存在したというジャックの静かな言葉が印象的でした。
「執事の分際」と話の展開的には似ているのですがBLカップリング的には真逆なのが個人的に面白かったなー。
よしながふみ
白泉社文庫全1巻 / 白泉社
ビーボーイコミックス全2巻 / リブレ出版
ジャンル:ボーイズラブ・ドラマ / 好み度:★★★★★おすすめ