同名小説シリーズのコミカライズ。
内向的でひきこもり傾向の強い音野順は名探偵といってもいいほど高い推理能力を持つ。音野の能力を高く評価している推理小説作家である白瀬は彼のために探偵事務所を開設し自分は助手になる。そして2人は事務所にやってくる依頼人の事件の謎を解いていく。
自分を過小評価し常に及び腰の音野を白瀬が尻をたたいて外に引っ張り出し事件を解決するという展開。事件の依頼を受けてそれを解決するというオーソドックスな構成ですがそれゆえに安定感のある内容です。ミステリ部分は読み応えがあるし、ゲストキャラも含め人間描写も肩に力が入っていないというか自然体というところがツボでした。
白瀬は実際に音野が解決した事件を元に小説を書いてヒットしているという設定ですが、白瀬は音野を利用しているというよりその能力をもっと有用に使うべきと思っているという感じなので、2人の関係にギスギスした雰囲気はなく、傍から見ると微笑ましいと感じられる関係。
細かいことですが、小説が元だからか小説家という設定だからか白瀬の口調が若い外見の割りに英国のインテリ紳士みたいでちょっとギャップを感じました。あと刑事にも音野の名探偵ぶりが周知の事実という設定が特に説明がなく物語に出てくるところがちょっと唐突だったかな。しかし刑事が排他的なら話の進みが淀むしこれでいいのか。
1エピソード2話、おおまかに事件編と解決編という構成も読みやすくていいですね。
原作:北山猛邦 / 漫画:山本小鉄子
バーズコミックス全4巻 / 幻冬舎コミックス
ジャンル:青年・小説 / 好み度:★★★★★