菊地秀行原作のヴァンパイア伝奇アクションのコミカライズ。
核戦争後著しく荒廃した人類に成り代わり貴族として世界に君臨したのは吸血鬼だった。そしてさらに時が経ち吸血鬼の繁栄も落日の時を向かえたものの、辺境では、危険なミュータントが徘徊しいまだ畏怖の対象として貴族の影が人の生活を脅かしていた。
そんな世界設定において、人外の美貌と能力を持つヴァンパイア専門のハンター・Dが主人公。依頼を受けた先や旅の途中での事件を1巻完結形式で綴るという構成で、つまるところ能力値がべらぼうに高いダークヒーローによるアクションと彼が関わる人間ドラマがメイン。
吸血鬼の大ボスがひそかに行った人間を使った「実験」。それはDが旅をする目的に関連し、かつ物語の鍵の1つになっています。
原作が好きで割りと読み込んだ人間なので主に作画に関する感想になりますがご容赦。
原作のイメージにはぴったり、原作者がチェックを入れているようで高品質のコミカライズになっています。特に文章では難解だった場面や先頭シーンが画として表現され明確になったのはうれしいところ。
しかし1巻、2巻はちょっとなあ、と思うところがとこどろころありました。1つ目は元来耽美かつ繊細な絵柄ゆえデフォルメした絵面がちぐはぐに感じたところ。コミカルなシーンであっても絵柄はくずさずいってほしかったです。2つ目は1、2巻の最後の一番の見せ場シーン、Dの笑顔の画が満足のいくものではなかったところ。これに限らず人物の心情描写はいまいちな部分が多かったです。
とはいえ巻を重ねるごとに確実に描きなれてきた印象を受けますし、原作の内容もシリアスの度合いが多くなってきている故ひっかかる部分は少なくなってきています。が感じたままを書いてみましたがえらそうですみません;;
イメージはぴったりなので続刊に期待。
原作:菊池秀行 / 作画:鷹木骰子
MFコミックス1~ / メディアファクトリー
ジャンル:青年・ダークアクション / 好み度:★★★★★