とある砂漠の国。ジャグリ(大道芸)に傾倒しサーカス団を率いる第三皇子と表情と感情を出せない水の巫女、皇子と共に在るランプの精の少女などが織り成すジャグリをめぐる絢爛な物語。
アラビアンナイトのような世界観。主人公の青年は、サーカス団を率い己のジャグリに魅了されないものはないと自信をもっていたが、ある日観客の中に眉一つ動かさない謎の美女がおり彼のプライドは崩される。
主人公はサーカス団を率いているが実はその国の3番目の皇子。3人兄弟が父親に呼ばれてみれば、父の隣にはあの笑わない女性が。その女性は砂漠の伝説の民の姫巫女であり、巫女の感情如何で土地の状態を変化させるという言い伝えがあるゆえか、喜怒哀楽がない。そして彼女は心が知りたいという望みを持っている。そして父王は、感情のない巫女を泣かせその涙で砂漠に雨をもたらした息子に王座を譲るという。しかし主人公は泣かせるのではなく笑わせようと決意する。
サーカスの踊りが曲芸の煌びやかな描写、父王と息子たちの確執と王位争い、主人公と姫巫女、そして主人公の近くにいるランプの精の少女との恋愛系模様、ジャグリという主題をからめたファンタジックなストーリー。
王位争いに伴う姫巫女と主人公の話とジャグリを極めるというあたりが物語のメインだと思うのですが、本筋の他に、一番初めに登場する、長い年月生きているものの見た目も気質も幼い少女のようであり主人公に惚れているランプの精と姫巫女と主人公の三角関係のような展開もあるのか・・なー。
けっこういろんな要素が詰め込まれているのでどれを追いかけていいのか迷ってしまうかも。あとオープニングから本筋に至る経緯など展開がちょっと、とっちらかっているような気がしないでも。
とはいえこの話がどう転ぶのか楽しみにさせる吸引力はあり、なにより煌びやかな絵と画面構成は魅力。
袁藤沖人
電撃コミックス全2巻 / アスキーメディアワークス
ジャンル:少年・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆