宇宙時代を迎えた未来。宇宙進出により人材が不足しそれを補うためバイオテクノロジーによって生み出されたのは体格・知性とも人間並みの動物・ブレーメンだった。彼らは人間が嫌がる辛く危険な職場に配属されていた。
そんな中、スカイアイ社はブレーメンの乗組員で構成された初の大型輸送船ブレーメンIIを構成、その船長には優秀で精密な航行技術を持つとされるキラ・ナルセが任命される。
動物たちの動かす船と戸惑うキラだが優秀な彼らにその杞憂を撤回、そして社長もなしくずしに同乗、なんとか航行する中で事件に遭遇するという展開。お気楽社長青年と主人公の関係やキャラ設定はアンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?を参照のこと。
複数の賞を受賞した社会派SF物語。キラと社長が主人公ではありますが、社会的地位が低く現実に偏見や虐待も存在するブレーメンたちが物語の主題。宇宙をゆるがす事件と、現実でも見られるような事件を題材にしたエピソードの中で、そのテーマが描かれています。
亜人種の存在を通して差別などの社会事象をテーマに描く話は昔からありますが、どれも読むうちに気持ちが沈みすぎて先に読めなかったんだよなー。現実ではあるんだけども・・。でもこのタイトルはそういう主題をきっちり伝えつつ鬱にならない雰囲気と構成。シリアスとコメディのメリハリとさりげなさは著者らしいというか。実際はこういう風にトントン拍子には運ばないだろうけどこうすりゃいいじゃんという明確は提示はありだと思います。
それにしてもここでグレイが出てくるとは・・。昔の短編漫画の設定をそのまま再利用したりと、SF系の話ではとことん設定を使いまわしてるなあと思うのは気のせいじゃないよね？；
川原泉
ジェッツコミックス全５巻 / 白泉社文庫全４巻 / 白泉社
ジャンル：青年・SF / 好み度：★★★★★おすすめ
つーかwikipediaなどの紹介では、アンドロイド～の続編となってますが、キラ・ヤマトが主役の短編てアンドロイド～以前にも１作品あったような気がするのですが・・。まあ社長が登場したのはアンドロイド～だからこれでいいのか。