当て屋の椿 川下寛次

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春画師の若者は春画のモデルをしていた女性が死亡しなんとはなしに、当て屋と言われる女性・椿に真相解明を依頼する。
江戸の吉原で繰り広げられる、当て屋の女性と春画師の青年の探偵物語。当て屋の女性がホームズで春画師の男性がワトソンといったところか。間柄の設定は違うけど。
当て屋の椿は記憶力が高く分析能力も長けている快活な女性、春画師の男性は彼女に翻弄されつつもついていくという構図。
事件の真相を当てるということで当て屋か~。江戸時代っぽくかつその本質をうまく言っている言葉だなと思いました。
吉原が舞台ということで、展開される事件は男と女の事件が多め。女性の情念や暴力に対する嘆き、愛情、愛憎といった生々しく哀しい描写が印象に残ります。
青年向きなので随所にエロエピソードがあり、かかわる事件の内容はかなりグロテスク。あと味付けとしてオカルト要素も含まれています。犯人の行動はほとんどオカルトだろうと思うのは間違いじゃない・・はず・・。
春画師は女体が苦手な割りに女性自体には興味があるという設定が人によっては微妙かも。当て屋椿をはじめとする登場する女性は江戸時代の体型じゃなかろうと思いましたがそういうことをいうのは野暮というものか。
絵は相当ハイレベル。女性の体は素直にきれいだなと思いました。ミステリも本格的なので猟奇的な表現が苦手でなければ読み応えのあるタイトル。

川下寛次
ジェッツコミックス15巻 / 白泉社
ジャンル:青年・ミステリ・時代 / 好み度:★★★☆☆