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日本の渋谷。空から降ってきた硬い卵に頭をぶつけた少女。倒れた自分に無関心な周囲に愚痴りながら、なおも割れない卵に在るボタンに触れる。すると爆発が起こり彼女は同時期に類似した現象が起こったイラクに転移する。そこで出会った日本サブカルびいきのオタク系インド学者とともにさらに宇宙の彼方へと転移する。
フランスのジャンダヴィッド・モルヴァンのプロット・シナリオをもとに藤原カムイが描くSFシュールストーリー。
どうも不思議の国のアリスをベースにSF要素や様々なジャンルのパロディを加えたエンターテイメントなタイトルのようです。アリスをベースにした作品は数あれどこれはなかなか凝った趣向とテンポのよい展開だなと感じました。
整合性がないようで筋道だった構成、突飛だけどセンスを感じる発想展開、随所に見られる遊び心、テンポ良くこじゃれた洒落の利いた会話。フランスの感性と日本の絵の構成が絶妙にブレンドされているというかなんというか。
当初は世界観の概要がつかみずらかったもののあれよあれよと止まらない展開で楽しませ、中盤でその概要がわかる構成は、するりと話に入れて良いですね。随所にパロディのコネタをちりばめていますが、わかる人はくすっと笑い、わからない人でも本筋を見るのに支障がないという距離感。
大きな女王によって作られた小さな世界と女王に反旗を翻す存在、そして主人公2人のからみが見所か。話にはついてゆけずとも絵本のように画面を眺めるだけでも堪能できるタイトル。藤原カムイのデザインセンスはやっぱり卓越しているなあと再認識。あー、タイトルの頭文字も洒落になってるのか。
プロット&シナリオ:ジャンダヴィッド・モルヴァン / 漫画:藤原カムイ
リュウコミックス全2巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・SF / 好み度:★★★★★