徳川の平和な治世に溶け込めず道をはずした忍びを狩る女郎を描いた時代物語。
平和な徳川の時代。戦のない治世で、かつて戦場を暗躍していた忍は公儀の隠密となるか一般の世界で暮らすかになった。しかし戦いが日常だった彼らの中には、平和な市井の暮らしになじめず道をはずし、忍びの能力を秩序を乱す力とする者が出ていた。そしてそんな忍びたちを狩る役目を担った忍びも存在した。
表向きは吉原の遊女だが本業は忍び狩りという女性が主人公。道をはずした忍びたちのエピソードが語られ彼女が彼らを狩ることで終わるという1話完結形式で物語は始まります。
江戸時代の話ですが、長い間戦地にいて戦争が終結して自国に戻ったけど社会復帰ができなくなっちゃった兵隊さんの話を思い出すなあ。環境の変化についていけなかった不幸。狩られた側にも同情するところはあれどとばっちりを食う側はそんな理由では報われん;
物語の性質上シリアスで劇画系なタイトルなのですが、主人公の女性の設定や性格付けに、ある種の潔さというか静謐さが内包されているためか思ったよりねっとりした雰囲気が少ないのが好印象。
ただただ狩る話が続くわけでもなく大物の暗躍を匂わせる伏線があり読み応えのある構成。
ながてゆか
新装版蝶獣戯譚 / リイドコミックス全2巻 / リイド社
蝶獣戯譚II / リイドコミックス5巻 / リイド社
ジャンル:青年・時代劇 / 好み度:★★★★☆