アシスタントも兼業しながらの売れない男性漫画家は順風とは言えない日常を厭いながらもあがき生きていた。ゆっくりと取り巻く日常世界は崩壊しており、それに気がつかず外に出た青年は現状を眼のあたりにする。
主人公は一度はコミックスを出しつつも現状鳴かず飛ばず、アシスタントを兼業しつつ作品を作る意欲はある、時折妄想が見え独り言が多い漫画家。恋人は普段はやさしいが酒の席で成功した漫画家の元カレを引き合いに出す。その成功した漫画家の作品は主人公も面白いと認めているのでさらに複雑な心境になる、などなど主人公の足踏み状態というか停滞した現状が冒頭で描かれる。
主人公は著者自身の思うところを投影しているのかいないのか妙にリアルというか尺が妙に長いのでそういうドラマかと思ったら、世間の物騒な異変が日常風景にさりげなく挟み込まれ、それはこの物語の本題の予兆だったという構成。
その変化に何ら興味を示さなかった主人公は外に出て、非日常の現状に気がつくことで話は動いていく。ネタばれするといわゆるゾンビサバイバルもの。日常から非日常への変化の過程は確かに見せる。そして非日常においての人間描写もいろんな意味で核心をついているのだろう。正直、沼にはまって出るために必死にうごめくさまを連想する内容で、正直好みではないのだが目が離せないのは確か。
花沢健吾
ビッグコミックス全22巻 / 小学館
ジャンル:青年・ドラマアクション / 好み度:★★★☆☆