人を避け朽ちた屋敷でひっそりと生きていた吸血鬼グレイのもとにある日ちいさな少女ティナが飛び込んできた。彼女は父の研究を狙う組織に追われていると言う...。シリーズ外の同時収録は「白夜」「月下美人」「a wish flower」「魔法の木」
性根の優しいグレイは人を憎まずただひっそりと生きることは辛くないけどさみしいことが悲しかった。父母も吸血鬼を恐れる人間にはむかうことなく滅ぼされたので人を憎まない性格を受け継いでるんですね。よく言えばおっとりとした悪く言えば天然が入ったグレイと勝気で前向きで饒舌なティナとの交流、そして続編のフレディのボケ同士(笑)のやりとりがツボでした。ちょっとしんどくなってしまった者の心理とそれを昇華して前へ進む強さの描写が見事です。まさに「心に残る」作品だと思います。
文庫化にあたり後日談が書き下ろされてましたけど絵柄変わりすぎで違和感が...(笑)
闇の生き物と人間の女性の物語「白夜」や愛は地球を救う(笑)コメディ「月下美人」等同時収録の短編群も印象深い物語ばかりです。
山田睦月
新書館ウィングス文庫全1巻
ジャンル:ファンタジー・ドラマ/好み度:★★★★★