母が電車に乗ることを極端に嫌ったため、空海は18歳になるまで一度も電車に乗ったことがなかった。母の死後2ヶ月たったとき、空海のもとにやってきた弁護士から自分に母方の祖父がいるということを知る。祖父に会うためクリスマスの日、稚瀬布発月館行き夜行列車「幻夜」号に乗り込む空海。その列車には7人の男性が同乗していた。そして列車の旅の中、事件はおこる...。
本格ミステリ、ということで終始シリアスかと思いきやなかなかどうして佐々木さんが持つ独特の失笑系のテイストがかなり含まれていました。空海の内なる心とか、お母さんの、娘に電車に乗らせないための手段の描写に特にそれを感じますね。上巻はミステリというより鉄道漫画?と思うくらい超詳しい鉄道薀蓄がぎゅうぎゅうにつまっていたり(笑)状況が見えない不安の描写とかミステリ的演出がリアルで秀逸。ミステリ作家の原作なので推理構成も読み応えありそうです。
小説の漫画化じゃなくてこの漫画用に原作者が書き下ろしたそうで。2人の作者の特性がうまく融合してるなあと感じました。
漫画:佐々木倫子/原作:綾辻行人
イッキコミックス全2巻/小学館
ジャンル:青年・推理ミステリ / 好み度:★★★★☆