蟲師 漆原友紀

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下等で奇怪、見慣れた動植物とは生態がまるで異なる不定型な生き物を「蟲」と呼ぶ。時には人に害を為す、その蟲を感じ、対処する術を身につけた「蟲師」の青年・ギンコの物語。
主に蟲によって難儀している人をギンコがフォローするというパターンが多いのですが、蟲を退治するというより、病気にかかってしまったので治すというシチュエーションに近いかもしれません。土地は日本らしいけど実在する日本とはかなり異なり、作中に出てくる伝承も蟲の対処法もかなり独創的です。登場する人々の出来事に対する反応がどこか現実とは違うものに感じられるのはそのせいかも。時には人に優しく時には牙をむく自然の理に対して人が感じる感情に似ているような気がします。
作品全体に漂う妖しく清涼な雰囲気が心地よく、作者の画風と作品の雰囲気もぴったりとはまっていると思います。山奥の朝の湿った空気に触れたときの感覚を思い出しますね。画面の1枚1枚が絵になっているというか眺めるだけでも価値はあるというか。表紙のカラー絵もいい感じです。
蟲という字はナウシカで始めて知ったのですが、そのときも文字をみるたび不思議なものを感じました。ざわざわとした、普段人が使う五感以外に響く感触を連想させます...。
完結後、テレビ2期がはじまる際、特別編が発表されました。

漆原友紀
アフタヌーンコミックス/全10巻/講談社
日蝕む翳 特別編 / アフタヌーンコミックスDX全1巻 / 講談社
ジャンル:和風ファンタジー/好み度:★★★★★/おすすめ