未来の世界を舞台に、青年・鋼さつきと医療用ロボット・カドミウムの物語。宇宙航海船サンタマリア号の中で、さつきはカドミウムと名乗る医療用ロボットと出会う。カドミウムは自然主義過激団体に彼女の持つ「犬機能」を否定する狙われていた。彼女と彼女の機能に興味を持ったさつきは彼女を助けることにするが...。
カドミウムとさつきの出会い編と4年後の二人編の2つで構成されています。ロボットに心は生み出されるのか、そして限りある命の人間と死なない(あるいは長寿)の者との間に本当の愛は育まれるのかといった命題が著者なりの答えとして描かれています。「心はどこにあるのか」云々のくだりに結構衝撃をうけた記憶があります。さつきとカドミウム双方の感情とか葛藤の表現が作品に幅を持たせている感じ。個人的にツボだったのはカドミウムの設定と口調でしょうか。1話のころの絵が一番好きだなー。
余談ですがカドミウムを狙う自然主義過激団体は、雑誌掲載時は実在する外国の自然主義団体(コミュニティ?)名でした。さすがにまずかったのかコミックス掲載時には「アナベル宗派」という架空の名になっています。ちなみに実在する彼らは、自分たちの生活の中に安易に文明の利器を取り入れないだけであって文明自体を否定しているわけではありません。
高河ゆん
ウイングスコミックス全1巻/新書館
ジャンル:少女・恋愛・SF/好み度:★★★★★