舞台は妖精が存在する西欧ファンタジーな架空の王国。その国の女王が発案した、舞踏会を開き国内外の権力者たちを楽しませ有益な外交を結ばせる政策により栄えていた。もちろん政策なので金持ち・権力階級のみが参加でき、庶民である主人公は参加資格がないものの自身の特殊能力を使って参加するという始まり。
主人公は亡き母から譲り受けた洋裁屋を営む娘。舞踏会に入った目的の1つは流行のおしゃれを見ること。自身のおしゃれへの興味と仕立ての仕事に役立てるため。また、主人公は他者の夢の中に入る能力を有し、妖精などの知識にも長け人の手から創られないレア素材のを入手し、それを服飾に組み込む。
主人公の服飾の仕事の要素と、素材を探すときに出会う妖精や人間のドラマを見せつつ、主人公自身を襲うであろう大局を匂わせる構成。
姿を消せるなど多芸な相棒の黒猫の存在・妖精などの不思議アイテムと関連する服飾の知識・おしゃれに対する探究心、夢の中に入る能力などなどとにかく要素がてんこもりというかなんでもありというか。
あれよあれよと繰り出される設定に正直読みづらい面がなきにしもあらず。じっくり腰を据えて読むことをお勧めします。まあ1巻目は手持ちの設定を出す紹介エピソードということもありこういう構成なんだろうけど。しかし主人公が健啖家という設定はともかく架空料理のエピソードがやたら詳細なのは蛇足のような。
どうも国の女王が主人公の能力を狙っているというか何かしらの画策がある模様。2巻以降は核心に進むのかな。
メルヘンでかわいらしく、ドラマはせつなく、と雰囲気はあるタイトル。絵はともかく設定や主人公のキャラ付けは低年齢層向けの夢見る少女漫画に近い構成のような。洋裁屋関連の話はマリーのアトリエを思い出す。
原作:流圭 / 作画:ほた。
電撃コミックス全3巻 / アスキーメディアワークス
ジャンル:少年・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆