赤き月の廻るころ 音中さわき / 岐川新

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歌舞伎の梨園「六木屋」の末娘・莉羽は赤い月が出る夢にさいなまれていた。そんな中、兄達の歌舞伎公演を観に行った際、主役を務めたのは彼女の夢の中の男そっくりの芦川流威だった。歌舞伎の世界を舞台にした愛とミステリの物語。
同名小説のコミカライズ。原作は未読ですが西欧ファンタジーの話のようです。漫画版は現代の日本が舞台で、主人公たちは原作の主人公たちの生まれ変わりといった設定なのかな。原作小説の内容を主人公が夢で見続けているという状態から始まります。
主人公は歌舞伎の名門「六木屋」の末娘で植物と意思疎通ができる特殊な能力を持っている設定(能力は原作と同じなのかな)。ある日芸に関しては目利きだということで兄たちの公演を観に行くことに。公演の主役を務める青年・「赤月家」の跡取り芦川流威は主人公の夢の中に出てくる人物そっくりだった。2人の出会いの直後、主人公の父が蜘蛛の毒で殺されそうになり、父宛の届け人不明の花束の花からの情報で主人公は「赤月家」が何らかの関与があると推理、赤月家に潜入を試み、流威もまた襲名騒ぎで何者かに狙われていると知る。流威の取り計らいにより赤月家で働きはじめるが・・という展開。
前世というか生まれ変わりというか運命の2人の恋愛的絡みもありますが、物語のメインはむしろ主人公の父を襲ったのは誰か、赤月家の襲名騒動で流威を狙う黒幕は誰かという謎が軸のサスペンスミステリと言ったほうがいいかも。
護衛やら兄やら運命の相手やらと護り手が周囲に多く居るにも関わらず護られるだけでなく積極的に動くタイプなのでストーリーの進行が早くて面白いんですよね。興味をそそらせる内容というか続きが気になる構成です。あとファンタジー系の焼き直しに歌舞伎の世界を使ったのもうまいなと思いました。美麗で丁寧な絵柄は作品の雰囲気とあってます。

原作:岐川新 / 漫画:音中さわき / キャラクター原案:凪かすみ
あすかコミックスDX全2巻 / 角川書店
ジャンル:少女・ファンタジーミステリ / 好み度:★★★☆☆