武将・明智光秀に焦点を当てた本格歴史ロマン。
本能寺の変とか三日天下とかで有名だけどあまり主役になったことがない武将（身もフタもない表現）・明智光秀を主人公にした物語。光秀が朝倉に在籍していたころ、朝倉の家に細川氏がやってきたあたりからはじまります。資料や通説に基づき、著者なりの解釈を入れた本格的な内容です。歴史ものとはかくありやといった感じ。萌え的表現は無くガチ、知られざる明智光秀の物語といったところか。
表現力・描写力の高い絵柄、有名な史実はさらっと流し今まであまり注目されていないマイナーな部分を特に力を入れて描かれていてとても読み応えがありました。明智を主役に据えたことでまた違った歴史の視点が堪能できるというか。特に本能寺の変は明智の私怨や下克上により行われたわけではなく、信長と光秀の未来の展望というか先読みが真逆になってしまったからという解釈が興味深かったです。
写実的ですが耽美的な雰囲気も内包した絵柄ゆえか著者の武将たちの視点ゆえか、織田信長も明智も細川も、きらきらとした夢を持ち語る少年のような面を持つ好ましい人物に描かれている印象。
巻末の４コマは本編では使い切れなかった？歴史トリビア満載でこちらも読み応えがありました。
織田時代の歴史に興味のある人にはかなりお勧めのタイトル。
楠本弘樹
無頼コミックス全１巻 / 松文社
ジャンル：歴史 / 好み度：★★★★★