高校一年生の春。家から一番近いからという理由で進学した高校なので馴染みのある顔が多く、高校に入学したといっても、取り巻く環境は以前とさほど変わらず、変化が感じられない主人公。それはそれでいいのだがふとつまらないとちょっぴり感じていたところに通り過ぎた、憂いを帯びたような美少女に魅了される。
その美少女は生徒会長であり理事長の娘、屋上に居ることが多いので屋上姫と呼ばれていた。そして主人公は偶然、彼女が屋上からばら撒いた薔薇を発見し少女に渡しに屋上へ行く。その際主人公は少女に、自分が感じた少女の印象とそれに好感を持ったことを告げる。すると彼女はそんなに好きなら付き合ってみるかという提案が。主人公は強い気持ちではないものの彼女に好意を持っていることに間違いはないので、その提案にうなずき、彼らは交際を始めるが・・という展開。
いわゆる恋愛ものですがなんというかメンタルな雰囲気が強いというか。屋上姫は主人公に興味を持って交際を提案したわけではなく、たまたま出会ったからという感じ。どうも姫は兄に傾倒しており、主人公との交際も兄の言葉の影響が強いという感じ。兄にとっての理想の姿をとるための行動に軋轢が生じている不安定な状態とも。
主人公もそんな姫にはやはり違和感を感じているもののそれでも交際を続けていくようだし、また主人公と馴染みの少女は主人公が好きで、そして親友の男子学生は外側からの視点でその関係を見る、という人物配置。
苦しく痛くせつなく不器用な青春ドラマ。いかにもな恋愛ドラマ的演出が少なく静謐な雰囲気が漂う印象的なタイトル。
ただ、積んで崩して崩して積んでと、ページ数の割りに話の進みが遅い構成。なのでまとめて読んだほうがいいかなあとは思います。
TOBI
フレックスコミックス全4巻 / ほるぷ出版
ジャンル:少年・学園・恋愛 / 好み度:★★★☆☆