落語の題目を元にした江戸~明治初期の男と女の物語。品川心中・子別れ・文違い・真景累ヶ淵・紺屋高尾の5編を収録した短編集。
江戸時代の恋愛話という名の艶と粋の大人の演目。落語が元ネタだからか「物語」という印象が強いかなあ。なんというか良くも悪くも愛するときも騙すときも直球だよなあと。テンポが良いというか登場人物が活きているというか。読み物として楽しく読めました。
品川心中
元一番の売れっ子遊女はプライドを護るためなじみの客との心中を企てるが。シリアスなんだけどなんかコメディぽくもあり。
子別れ
明治初期。理由あって離れていた父と子は偶然再会する。2人の交流が続く中それは母も知るところとなり。父と母は互いに未練はあるものの。別れた家族が再び繋がるお話。
文違い
いろんな理由でいろんな男にお金を無心する遊女。彼女の本当の理由とは。騙し騙され恋し恋され。ライトな人情ショートミステリみたいな。
真景累ヶ淵
年上の芸事の女師匠と年下弟子の男性は恋仲に。しかし師匠はある出来事から弟子の若い女性に嫉妬し・・。女の念を主題にした日本怪談ぽい話。はっきりしたオカルトではないものの因縁というものを感じる内容。
紺屋高尾
神田の染め物職人は高嶺の花の遊女に惚れ、懸命に働き3年後金を作りその遊女の元へ向かう。遊女と職人のまっすぐなお話。相手を真面目に愛する実直さが良いなあ。
小野塚カホリ
フィールコミックス全1巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・恋愛 / 好み度:★★★☆☆