平安時代の傑作・源氏物語。単に源氏物語のコミカライズではなく、光の君を主人公とする物語の世界と著者である紫式部本人の半生が交錯する構成。
紫式部が源氏物語を書くに到る経緯、物語を書くよう指示した藤原道真と紫式部の馴れ初め(というには一方的なものですが)や道真をはじめとする宮廷の政治的なエピソード、そして紫式部の胸中などといった紫式部とその周辺の話と、源氏物語本編が交互に展開されていきます。
一話完結タイプの構成である源氏物語。源氏物語の各エピソードが作成された時の紫式部自身の話を盛り込んでいるということかな。物語というのは多かれ少なかれ著者の経験や考えが反映されるもので、現実と虚構の類似の提示などがさりげに組まれているような。源氏物語のストーリーも良いですが、現実世界の人間関係の描写もかなり興味深いです。紫式部本人の話ってあまり見たことがなかったので。
平安時代特有の女性たちの描写が印象的でした。儚げな人、嫉妬に狂う人、自立心の強い人、タイプは違えどどの女性も情が深いんですよね。作画担当の人は特にこういうタイプのキャラを描くのがうまい人なので当たりだなあと感じました。
原作:高山由紀子 / 漫画:宮城とおこ/脚色:川崎いづみ
あすかコミックスDX全2巻 / 角川書店
ジャンル:少女・歴史 / 好み度:★★★☆☆