同名SF小説のコミカライズ。
過去のある百年の期間の歴史資料が皆無で、現在はほぼ砂漠化してしまい、銀妖子と呼ばれる正体不明の存在によって日常生活が営める状態の世界。現代喜怒哀楽が出せない無感動症の少年は、世界と自分自身に対する疑問がぬぐえないでいた。そんな中、兄の裁く遺跡調査に同行する。
その旅から、主人公は、出会いと別れとめまぐるしく事態が変化していき様々な体験をする中で、疑問とか過去に対する憧憬とかを見定めていく話・・・でいいのだろうか。表題は、主人公が当初は無感動症ゆえに悲しい場面に直面したとき目薬を挿して涙を流しているというところからきているのかな。
正直なところ、世界観や主人公の行動や描写など、難解の一言に尽きる内容。漫画の場合、心情描写よりも状況描写のウェイトが大きくなっちゃうからか、特殊すぎる世界観に感性が追いつけないだけなのか。多分作品のイメージとしてはこの作画担当の人で正解だと思うのですが。
急転直下な展開が矢継ぎ早に起こるけれど、主人公に感情がないということを強調するためか、物語の雰囲気も実に淡々とした印象が強いです。この難解な設定にどことなく懐かしさを感じていたのですが原作はけっこう昔の作品のようで。ちょい納得。
東城和実 / 原作:神林長平
早川書房全2巻 / ジャンル:SF・ドラマ / 好み度:★★★☆☆