その国は人口激減による労働力低下の打開策として死体を再生させて労働力に当てている。その死体再生のエキスパートであるネクロマンサー・ゼンと彼の下僕アシスタントのヨマイくんの物語。
人口が激減した国。労働力の補充のため、死体を生き返らせ労働に充てるという死体の再利用の手法がとられている。死体の復活は死体使い・ネクロマンサーの呪術により成され、用途によって作り変えられた死体はロボットのような傀儡のような状態で与えられた仕事のみを行うといったかんじ。
倫理的な紛争を防止するためか死者に生前の人格を見出したり死者を悼むという気持ちは禁忌とされ、また死体に愛着を持つとその死体は暴走する仕組みになっているという社会設定。
そんな国で国一番とされる死体使いのゼンとその下僕でありアシスタントの少年ヨマイを中心とした物語。ヨマイは主人であるゼンに他人と言葉を交わしてはいけない、関わってはいけないと命令されているものの好奇心旺盛な彼は外の世界の興味が尽きず。たまに外に出たヨマイくんにトラブルが発生し、という展開。
ゼンがヨマイを外界と接触させたがらないのはヨマイが食人鬼だから
スプラッタなコメディ、ブラックユーモアとゴシックホラーを掛け合わせたような世界観。スプラッタ表現も結構グロイです。絵がかわいいから気持ち悪さはだいぶ少なめですが。というか女性向けなスプラッタ表現というべきか。ホラースプラッタもののような陰鬱な雰囲気が少ないのは確か。
しかしまあゾンビ暴走シーンもあれですが、主従のお仕置きとかヨマイの食事とかメインキャラたちの行動もなかなかすごい。見慣れない人はショッキングかも知れず。
死体再利用の設定とか愛の存在が暴走・悲劇を起こす展開とかぼかしなしで展開されるがゆえに登場人物たちの心情描写とかドラマに深みが出ている印象があります。物語自体はせつなくしんみりする内容です。明るい雰囲気の中に深遠なドラマを組み込んでいるタイプというか。
人外であるヨマイの心情がある意味逆説的なのがまたもの悲しい。
厘のミキ
KC×ARIA全3巻 / 講談社
ジャンル:少女・オカルトコメディ / 好み度:★★★★☆