東京下町。適当で当たらないと評判の辻占いのおじさん・通称ウメさんとそのお客が織り成す人情絵巻。
主人公は東京下町で辻占いを生業とする中年のおじさん。占い自体は素人目にもわかるほど適当で当然当たらないし相談に見合った妖しげな品物を少額で売るタイプの占い師。
しかし偶然か運命か、主人公が占ったのをきっかけに相談者の悩みや人生が変わっていくという展開。ちょっとしたきっかけとか主人公の占いという気持ち的な後押しとか気分を変えた、などから事態が進展するといった流れであり、その過程で綴られる下町人情的ドラマ。表題は収束した出来事に対する主人公の〆の決め台詞。
主人公はそれなりにはしかく頭を回すタイプで客に具にもつかないものを売る、というと詐欺っぽいがその額は少なく、またその品物により当事者は気は心みたいな軽いノリで気持ちが変わるなり事態が変わるといった構成は、いい意味での人間の適当さが表現されているようでツボだったり。
主人公はこすっからいけど人情味はそれなりにありけっこうわりを食ちゃうこともあるというある意味愛すべき三枚目なキャラ。主人公のキャラといい周囲の面々や客のドラマと言い昭和の香りが色濃い内容。いまも下町ではこういうノリなんですかね。
１巻巻末には短編STRAIGHT NO CHASERも収録。フリーターの男が相愛と思っている相手に言われたことをそのまま真に受けてトランペットを習う話。どちらかというとこちらのほうが著者のカラーなのかな。直球で気持ちのいい話。
石塚真一
ビッグコミックス１巻 / 小学館
ジャンル：青年・人情ドラマ / 好み度：★★★★☆