デストロイアンドレボリューション 森恒二

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自身に降りかかる境遇や理不尽な他人に怒りと諦めを持つ孤独な高校生・マコトは、世界を改革する望みを持つ同級生ユウキと出会う。マコトの持つ「力」とユウキの「知略」不条理で不公平な世界を変えようとするテロリストとなった2人の物語。
経営難から父は自殺し母は家出、生活保護を受ける祖母と暮らし、その境遇からイジメをうけ不登校・フリースクールそして精神科へ通院、という経緯を持つ主人公。彼は学校で自分と同じく二年留年した同級生ユウキと出会う。
ユウキの、君はどこか違うと漠然と指摘されたマコト。実はマコトはある出会いと体験から特殊能力を持っていた。感情が高ぶると手を触れず破壊するという力が。そしてユウキは、現在の社会が抱える歪みや不条理・理不尽さを怒り一度全部壊して社会を再構築するべきだという信念を持っていた。
そして2人は世界を変えるテロリストとして行動を起こすという展開。客観寄りの思考展開、むやみに破壊するのではなくマスコミなどを利用し効果的に世間に意図を知らしめるための知略、そしてなるだけ死傷者は出したくないという気持ち。ドロップアウトした人間特有のよがった考えで暴走する話ではなさそうなところが特徴のよう。
マコトが能力を得る過程描写はなんとなく諸星作品を思い出す。
今の政治の歪みは戦後直後の状況にあわせて始めたことをそのまま受け継ぎ続けているからで、変えていかないのは変えられる当人たちにとってうまみがあるからで。そしてすべてを上手に変える革命は存在しない、また犠牲のない革命も。

森恒二
ヤングジャンプコミックス全9巻 / 集英社
ジャンル:青年 / 好み度:★★★★☆