大正時代の文豪芥川龍之介と、彼の友人の作家や細君など周辺の面々との交流や出来事を描いた物語。
作品はともかく芥川本人については若くして自殺したという知識しかなかったのですがこんなかんじの人だったのか。まあ著者の脚色もあるでしょうがこういう半生を歩まれたのかと。
おそらく残っている記録をもとに描かれているのか、筋道だったというより起こった出来事をぼつぼつと描き、その中に著者の創作する者ならではの苦悩の描写が折り困れているかんじ。当時の世相や生活の描写、震災を体験しての心情描写も臨場感がありました。様々な出来事からジワジワと生きるという活力を失っていき最期の結末に至る〆の表現はぼかしていつつもうまくまとめられてたなあ。
芥川という人物に興味を持つという意味においてはものすごく価値があるタイトルかと。
松田奈緒子
KCデラックス全1巻 / 講談社
ジャンル:女性・伝記 / 好み度:★★★★☆